2025年4月15日
病気の説明
根尖周囲病巣(こんせんしゅういびょうそう)は、歯の根の先端(根尖部)に炎症が生じ、膿や感染が広がる病気です。「根尖膿瘍」や「歯根周囲膿瘍」とも呼ばれます。主な原因は、歯の損傷や重度の歯周病による細菌感染です。
この病気は、犬や猫の歯のトラブルの中でも比較的よく見られる病気であり、特に犬では上顎第4前臼歯(裂肉歯)、猫では犬歯に多く発生します。進行すると、顔の腫れや皮膚に穴(フィステル)が開くなどの症状が現れます。
主な原因
歯の破折(折れ・ヒビ)
・硬いものを噛んだ際に歯が割れたり、欠けたりすることで、内部の歯髄(神経や血管)が露出し、細菌感染を引き起こす
・特に硬いおもちゃ、鹿角、牛骨、氷などを噛む犬で多発
重度の歯周病
・歯周病が進行すると、歯根周囲の組織が破壊され、細菌が根尖部へ到達する
歯髄炎・歯内感染
・虫歯が少ない犬猫でも、歯髄が細菌感染を起こすことで炎症が進行することがある
外傷(事故やケンカ)
顔面を強くぶつけたり、喧嘩で歯に強い衝撃を受けた際に発症することがある
症状のポイント
根尖病巣は、初期段階では目立った症状が出にくいため、進行してから気づくことが多い病気です
主な症状
顔の腫れ(特に目の下や口元)
・上顎第4前臼歯(裂肉歯)が感染すると、目の下が腫れる
・下顎の犬歯が感染すると、顎の下が腫れる
・進行すると、腫れた部分に穴(フィステル)が開き、膿が出ることがある
口の違和感・痛み
・片側の歯だけで食べる、食欲が落ちる
・口を触られるのを嫌がる
・よだれが増える(時に血が混じる)
口臭の悪化
・歯周病と同様に強い口臭が発生
目の異常(涙や目やに)
・上顎の感染が副鼻腔に波及すると、涙の増加や目の腫れを伴うことがある
全身症状(重症化した場合)
・感染が広がると、発熱や元気消失が見られることもある。
注意点
・顔の腫れが「虫刺され」や「アレルギー」と間違われることが多い
・腫れたり治まったりを繰り返す場合は、根尖病巣の可能性が高い
治療のポイント
根尖病巣の治療は、感染源である歯を適切に処置することが重要です。
抜歯(最も一般的な治療法)
・感染した歯を抜くことで、炎症を根本的に解決できる
・麻酔下での手術が必要だが、抜歯後は痛みがなくなり、速やかに回復することが多い
歯内治療(根管治療:可能な場合のみ)
・根管治療は、歯を残したい場合に選択される方法
・感染した歯髄を取り除き、歯の内部を消毒して詰め物をする
・専門的な設備が必要で、全ての動物病院で実施できるわけではない
・猫や小型犬では、根管が細いため、成功率が低いこともある
抗生物質・抗炎症薬(補助的治療)
・感染の広がりを抑えるために抗生剤を投与することがあるが、薬だけでは根本的な治療にはならず、抜歯や根管治療が必要
在宅ケアと予防
・再発防止のために、日頃の口腔ケアが重要
・硬すぎるおもちゃや骨を避ける(歯が折れるリスクを減らす)
・定期的な歯磨き(細菌感染を予防)
・歯科検診(半年から1年に1回)で早期発見
まとめ
根尖周囲病巣は、歯の根の先端に感染が広がることで起こる病気で、顔の腫れや皮膚の穴(フィステル)、痛みを引き起こします。治療の基本は、感染した歯の抜歯や根管治療ですが、放置すると感染が広がり、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。「顔の腫れが突然出たり引いたりする」「目の下が腫れている」「食べ方が変わった」といった変化に気づいたら、早めに動物病院で診察を受けることが重要です。また、日常的なデンタルケアや定期的な歯科検診を行うことで、根尖病巣を未然に防ぐことができます。